千石先生との想いで (千石正一・動物学者)

平成14年、平川動物公園開園30周年を記念し、千石先生の講演会が「サンエールかごしま」で

開催されました。

私は先生の送り迎えなど、数日間ご一緒させていただきましたが、正直、第一印象は良くありま

せんでした。

でも、いろんなお話をする中で、先生は動物以外にも歴史や映画・音楽・落語など、幅広い知識

の持ち主でした。

特に落語の話が印象に残っています。 東京在住の頃、私もよく寄席に行っていたものですから。

 

先生は若い頃、大阪で桂三枝(現.文枝)と仕事をしていたことがあったそうです。

当然、落語の話で盛り上がり、三枝から「ほな~、僕の弟子になんなはれ」と言われたことも

あったとか。

そやな~芸名は~う~ん「桂~山椒魚」でどないや~。

懐かしそうに話をされた先生の笑顔が、忘れられません。

 

サンエールの講演後、会場から質問がありました。

「明日、地球が滅びる分かっていたら、先生は何をするか」という趣旨のものでした。

先生:「う~ん、それでも僕は種を蒔きます

 

4年ほど前、久しぶりに先生から便りがありました。

末期ガンであること、自宅を病室に改装し、闘病生活を送っていること、それでも依頼があれば

講演したい想いなどが、切々と綴られていました。

今思えば、会いに行けば良かったと、後悔しています。

 

一般的に忌嫌われる爬虫類・両生類の「こころの代弁者」としてその生涯を捧げられた先生。

 

その想いは、しっかりと受け継いで行きます。 平成12.2.7永眠 合掌

 

※千石正一(せんごくしょういち)1949年4月23日、東京都世田谷区に生まれる。
 動物学者で主に爬虫類と両生類を扱う。
 東京農工大学農学部を卒業。財団法人自然環境研究センターの研究主幹を務める。
 TBSテレビの「わくわく動物ランド」「どうぶつ奇想天外」などにも出演。

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